病院の取り組み 院内感染対策

院内感染対策のための指針

はじめに

 有相会 最成病院(以下「病院」という。)理念は、「地域の皆さまに、急性期から慢性期まで安全で質の高い医療を提供します。」である。患者及び病院職員に安全で快適な医療環境を提供する必要性から、感染予防と感染制御の対策に取り組むための基本的な考え方等を定めた。

  1. 院内感染対策に対する基本的な考え方
  2.  院内感染(病院感染)対策の病院業務における重要性は近年特に強く認識されている。
    病院における院内感染の防止に留意し、感染等発生の際にはその原因の特定、制圧、終息を図ることは病院にとって重要なものと考えられる。適切な院内感染対策は患者、医療従事者の安全、医療コストの軽減、地域における耐性菌の発生予防に役立つ。このため、院内感染防止対策を職員が把握し、この指針に則った医療を患者に提供できるよう取り組む。

  3. 院内感染対策のための委員会等の組織に関する基本的事項
  4.  平成3年10月1日に MRSA防止対策委員会として発足、各科の医師、師長で運営された。平成5年6月より院内感染対策のための組織として、「院内感染防止対策委員会」を新たに設置した。平成25年度より感染管理師長が専従となり、病院長のもとに感染対策委員会組織図を再構築し、感染防止対策を円滑に運営するため、感染防止対策部門を設置した。患者及び職員に安全で快適な医療環境の質改善を行う感染対策チーム(以下ICTという)と感染症診療の質改善を行う抗菌薬適正使用支援チーム(以下ASTという)を感染制御活動の二本柱とし、それぞれサーベイランスを軸にした感染活動を行う。

    感染防止対策部門

     院内の感染防止対策に関する病院全体の問題点を把握し、改善策を講じるなど、院内感染防止対策活動の中枢的な役割を担う。
    ICTとASTの二本柱とし、ICTは全職員が、異常を速やかに察知し迅速な感染対策ができることを目指す。ASTは、全診療科の医師が、感染症を的確に診断した上で抗菌薬を選択、その経過を評価し、抗菌薬を適正に使用できることを目指す。
     感染対策に関する基本姿勢を全職員に周知し、医療の安全性を確保し患者に信頼される医療サービスを提供する。

  5. 院内感染対策のための病院従業員に対する研修に関する基本方針
    1. 研修の目的
    2.  病院感染管理の基本的な考え方及び標準予防策、感染経路別予防策、職業感染対策をはじめとする病院感染防止の具体策を全職員に周知徹底し、職員個々の病院感染対策に関する意識と技術の向上を図る。

    3. 研修の種類及び方法
      1. 新採用職員に対する研修
      2. 採用時に病院感染管理の基礎に関する研修を行う。

      3. 感染管理組織に所属する職員の研修
      4. 病院感染対策委員会、ICT、AST、リンクナース、リンク感染症の各委員会は、外部研修会研究会、学会などへ積極的に参加し、感染管理の最新の知識と技術を得る。

      5. 全職員を対象にした継続的な研修
        1. 年5回以上ICT、AST、リンクナース、リンク感染症が企画し、全職種対象の病院感染対策研修会を開催する。そのうち2回は全職種参加を必修とした研修を行う。
          本研修はICT、AST、リンクナースチームによる講義、講習会及びアウトブレイク事例報告と検討、または外部講師を招聘した講演などの方法で行うものとする。
        2. ICT、ASTによる部署単位の研修を必要に応じ実施する。
        3. 研究会、講習会など、施設外研修を広く院内に広報し参加を推進する。
  6. 院内感染症の発生状況の報告に関する基本方針
    1. 感染対策部門関係者は病院感染対策マニュアルに規定した特定菌感染症の報告(感染症法に基づく報告を含む)を感染管理認定看護師(以下ICNという)に行う。また、指定抗菌薬届出報告を行うと共にサーベイランスに協力する。
    2. ICT、ASTは感染症発生の報告・サーベイランスデータ・ICT院内ラウンド・AST抗菌薬ラウンド・指定抗菌薬届出報告などからリスク事例を把握し対策の指導を行う。
    3. サーベイランスを積極的に実施し、感染対策の改善に活用する。
      1. 院内における微生物検出状況のサーベイランスや薬剤感受性パターンなどの解析を行い、疫学情報を感染対策部門と現場へフィードバックする。
      2. 手術部位感染(SSI)・全入院耐性菌サーベイランス・手指衛生サーベイランスなど現状に応じて対象限定サーベイランスを実施する。
  7. 院内感染発生時の対応に関する基本方針
    1. 微生物の分離率や感染症特定菌検出報告書から、アウトブレイクあるいは異常発生を迅速に特定する。
    2. 集団院内感染(アウトブレイク)が発生した場合、報告を受けたICD ICN、感染担当者など当各科の責任者がICTへ報告する。ICTは当各科・部門と協力して初期対応、原因微生物の特定、感染拡大抑制に努める。緊急を要する感染症で深刻なものである場合は、医療安全管理部と連携し病院長を本部長とする対策本部を設置し、緊急対策を講ずるとともに再発防止および対応方針を検討する。
    3. 病院感染のアウトブレイクや、重症者・死亡者などが出た場合の保健所報告については病院長が判断する。また、報告が義務付けられている感染症が特定した場合は、ICNが速やかに保健所に報告する。
    4. 病院内の感染対策部門のみでアウトブレイクへの対応が不十分な場合は、千葉市保健所や千葉大学(千葉県院内感染対策地域支援ネットワーク)相談窓口などを活用し外部支援を要請する。
    5. 届出が必要な感染症については「千葉市感染症発生動向調査対象疾患一覧」に基づき千葉市保健所と連携をとって対応する。
  8. 患者等に対する指針の閲覧に関する基本方針
  9.  この指針は、来院の方が閲覧できるよう外来ロビーに一般公開し、患者等に感染対策への理解と協力を得るため、トピックスとして院内掲示している。

  10. その他院内感染対策の推進のために必要な基本方針
  11.  院内感染対策の推進のため、「病院感染対策マニュアル」を整備して、病院従業員への周知徹底を図ります。また、このマニュアルの定期的な見直しを行います。

平成24年8月16日改訂
平成28年3月24日改訂
平成29年1月改訂
平成30年10月1日改訂
令和元年8月15日改訂